Making-8

メイキング8


『カサノハナシ』ができるまで

 自分の曲や歌詞がどうしても女子っぽくなるのがコンプレックスで、もっと男らしい曲が書きたい! と常日頃から考えていたのですが、ある日突然「そうだこの女々しさを逆に前面に出したようなの一個作ってみよう!」と閃いたのが今回の曲の発端となりました。
 で、引っ張り出してきたのが、お風呂の中で鼻歌歌ってたら出来上がったメロディです。
 もともとはお友だちのはんぺんちゃん(仮)に歌ってほしいなーと考えてたものなのですが、いずれにせよ原型はかなり昔に作ったものです。
 こちらに去年の6月ごろ、仕事でミスった勢いのままムシャムシャして書いた歌詞をくっつけました。
 なんつうか今までと違って、もやもやとかムシャムシャとか(←)そういう感情をそのまま言葉にしたような歌詞になっています。
 「胸が痛い」とか言わずにあえて「ここが痛い」とかぼかすあたりとかもね、いかにも女子っぽいといいますか。別にえろい話とかじゃないよ。

かさの楽譜


 ワー↑↑ なにこれきたなーい!(´∀`)←いつものこと
 今回はアカンパニメント(※エレクトーンに入っている自動伴奏のこと)をフル活用した曲にしようと思ってたので、まともに伴奏用の楽譜なんて書いてないですよー
 っつーわけでメロディだけを三段にびっしり書いてます。
 こんなふうにだんだん楽譜まで適当になってきたので、解読してくれてるとまとちゃんにはマジで土下座して謝りたい気持ちです。


@キャスティングについて
 実は今回の曲って「女子」っぽさを出す、ということくらいしか決まってなかったので、特にこのUTAUの子に歌ってもらいたいナーとか考えながら作った曲ではありませんでした。
 普通は物語やメインのUTAUキャラクターさんとセットで、曲やPVの構成を作ってるんだけどね。
 まぁ最初は人間の女の子に歌ってもらう気だったわけですしおすし。

 そこで異例の企画。
 なんととまとちゃんが、「カサノハナシ」専用オーディション動画を作ってくれたのでしたー!
 内容はとまとちゃんが選りすぐった8名程度のUTAU音源さんに、それぞれサビの部分のみを歌って頂くというもの。
 そのときの音源や途中過程のもろもろは、とまとちゃんのサイトfluhlingslied***のメイキングから聴けるようですぜぃー!(宣伝)
 とにもかくにもこのオーディションにて見事主役の座を勝ち取ったのが、さとうささらさんと共音ザクさんだったというわけなのです。
 同時開催男声部門では「らららコーラス隊」の椅子を薪宮風季さんがゲットしてくれました。
 しかしどの音源さんも本当に素晴らしすぎて、悩みに悩みぬいた上で「やっぱりどうしても参加してほしい!!」となった音源さんには、ふんわりコーラス隊にてご参加頂きました。
 滲音かこいさん、LOKEさん、園音璃奈子さん、京音ロンくんあたりのみなさんですね。


Aメインボーカル
 さて、メインボーカルに決まったお二人についてですが、とてもナチュラルな魅力があるお声の持ち主です。
 さとうささらさんは、キャスティング当時ニコニコ界を沸かせていたので個人的に注目していました。
 UTAUではなくCevioさんというソフトですが、甘ーいお声で生き生きと楽しそうに歌ってくださいます。
 そしてもうひとりの共音ザクさんは、白鴉たんのお気に入りだったこともありフリーサイズ全体で注目していた音源さんです。
 大人っぽくはっきりとした発音で、とまとちゃんいわくクレモンティーヌさんを意識した調声をして頂いたとのこと。

 もともとはひとりの女性の視点で書いた歌詞なのですが、歌う箇所の割り振りもそのキャラクターに基づいて分けてまして、比較的いい子ちゃんな側面をザクさんが、キュートなわがままをささらさんが担当しています。


B衣装設定について
 おなじみ白鴉たんのご登場です。
 今回はお話の関係上イマドキファッションでいきたいと思っていたので、本格的に私のセンスではやばいと最初から察していました。
 で、なんとなーくささらさんはアレンジヘア+ショーパン+パーカー+サンダルみたいなイメージが浮かんできて。
 対するザクさんはというとヘアアクセ+羽織もの+ロンスカなかんじかなー、みたいなそんな季節感とかガン無視のオーダーを持ち出す汐日。
 そんな私のアレコレを聞いて白鴉たんが仕上げてくれたのが↓のデザインたちですよ!

白鴉流「かさのはなし」


 はいかわいいー(よだれ)。
 あっちょっと待ってください各個人の衣装原案もごいっしょに。

白鴉流「ささら」


 ささらさん。

白鴉流「ザク」


 ザクさん。

白鴉流「おそろいアイテム」


 イラストギャラリーのところでも書きましたが、これが噂の「THE☆女子力オソロアイテム」ですね!!
 ひぃぃこんなジャパニーズカワイイ発想なんて私には出てこないよー知ってたよー
 それでは、こちらを踏まえて汐日が描いた下絵(↓)を見てみましょう。

かさの下絵


 あれ……れ……?(´-`)
 まぁクオリティが落ちたとかとやかく言ってもしょうがないので、ペン入れをしてみましょう。

かさのペン入れ


 いつものこととはいえだいぶおかしなことになりましたね!
 そういえば色の指定はなかったけど今回はどんな色にしようかな……

かさの色アテ


 ダメだ全くいい案が思いつかない(白目)

かさの配色


 で、決定したのがこちらの案でしたよね。
 ちなみに今回は数枚のイラストが登場しますが、あれが出来上がるまでに何枚も下絵を描いてはボツり、下絵を描いてはボツりの繰り返しをしていたので、ほとんど完成まで持っていくことができませんでした! ひどぅい!!



C動画構成について

かさの動画構成


 あ。これたぶん一番最初に走り描いた動画構成案ですね。

<通常時>(下から)
1.壁紙
2.背景シルエット
3.小物・素材
4.人物絵
5.枠素材
6.町並み
7.歩くささらさんGIF

<ラスサビ>
1.青空・雲・建物・花火
2.風船(エンドレスup)
3.人物シルエット
4.ささらさん(風揺れスクリプト)
5.お花(やはり風揺れスクリプト)

 みたいなかんじにしていただいてます。やだなにこのレイヤー数……。白鴉たん元気かい……ちゃんとメシ食って寝てるかい……
 白鴉たんによるかさのはなし動画制作記事がありますね


Dオケについて
 冒頭でもちょいとお話しましたが、今回はいかにエレクトーンに内蔵されているアカンパニメントを用いて、そこそこド派手なオリジナル曲が作れるか? みたいな異様なチャレンジ魂も若干入っておりました。
結果:ぶっちゃけ普通にアセンブリーするより大変だったような気がする。
 今回オリジナルフレーズとして演奏したのは、全体を通して登場するギターと、2番サビで移動しているホワホワ音と、ラスサビで移動してるキラキラ音のみです。擬音語すごすぎてよくわからないと思うのでスルーして下さい。
 ギターはぶっつけで2テイクアドリブを演奏し、それをとまとちゃんに取捨選択して合成して頂きました。ありがとうございます。
 で、リズムは三種類のキットを重ねて使っています。
 まずベースとなるリズムには、プリセットで入っているジャズパターンを組み合わせて使用。
 その上から打ち込みリズムとして、スタンダードキットのパターンと、雨音をイメージしたアナログキットのパターンを組み合わせて重ねました。
 特にアナログキット方は、2周目からワウ効果をかけたりといろいろ遊んでいます。
 まぁどんなに普通の曲作ろうとしても普通にはなりそうにないなと覚悟はしてました。



E調声について
 こちらに関してはほんと前半で申し上げたとまとちゃんの記事の方が詳しいので、どうぞどうぞそちらをご覧下さい。(スキル:無責任)
 人間らしく歌ってほしいという思いが強かっただけに、結構細かいところまで「スキル:うざい」を発動していたように思います。すみませんでした。
 一番インパクトがあるのは、最後の嗚咽のような吐息でしょうか。あれほんとすごいべ……
 あとは黒背景のときの「何もないから」を線の細いかんじにしていただいたり、逆に「ぜんぶぜんぶが!」をパワー全開にしていただいたり。
 いろいろいろいろあったんですけど……でもなんといってもあれです!! クライマックスで満を持して登場する「雨に唄えば」です!!!
 これ、完全にとまとちゃんのアイディアなんですけど……もう原曲好きスギーだったので私は……私は……(これ以上は言うまい)


Fテーマについて
 前回発表した『F』という曲の歌詞が、どんな言葉で終わったか皆さん覚えていらっしゃいますか。
 そう、「かさのはな」です。
 つまり、今回の曲は全然違う世界にいながら、『F』とひどく似通ったテーマで展開しています。
 詳しい経緯は謎ですが、とにかく私はどうやら「忘れる」ということがひどく怖く、末恐ろしく、悲しくて寂しいものだと思っているらしい。
 そのくせそれがないと生きていけないとも思っているらしい。
 そのあたりがとても同じ線の上で語られているのですが、唯一違うのは『F』がずっと自分自身との対話で終わっていたことに対し、『カサノハナシ』では第三者の存在が出てきたことです。
 それによって何かが解決したわけではないし、そもそも語り手が相手に何も言えないので仕方ない状態なのですが、最後に再び絶望の底が見えてしまった『F』と比べると、この一点こそが今回の曲における唯一の「明かり」なのかもしれないなぁと思っています。

 とにかく、なんとでも解釈のしようがあるような、今までになくとても抽象的で具体的な歌詞になっていますので、ぜひとも皆様の自由な目とお耳と御心でお聴き頂けますと幸いです。
 少しでも楽しんでいただけることをねがいつつ。




back<<8>>next


inserted by FC2 system