『揺蘭歌』ができるまで
メンバー全員がだいすきな和風曲を作ってみたいね、という思いから生まれた曲です。
ちょうど大学の講義で『申し子譚』に出会い、こんな物語を背景に曲を作りたいな、ともやもやしていました。
すると、偶然月代はくぽくんのお声を耳にしてしまい、あまりの衝撃に一気に曲を仕上げてしまいました。
コーラスを担当しているのは、和風曲が大得意な和音マコさんです。
とまとが作成した厚みのあるコーラスによる、華やかな雰囲気をお楽しみ頂ければな、と思います。
◆1
曲のざっくりとした構想自体については、結構前からもやもやと浮かんでいることが多いです。
エレクトーンはさまざまなジャンルの曲が作れてしまうので、いろいろ手を出したくなってしまうのが最大の難点(笑)
今、頭の中にストーリーがあるのはレトロジャズの曲で、最近はサンバっぽい曲も作ってみたいなぁと思い始めたところ。
こんなふうに、作りたい曲のジャンルから物語を連想してゆくことが多いです。
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◆2
『追憶のカムパニルヤ』は初めてのUTAU挑戦曲だったので、とまとちゃんに全キャラのキャスティングをしてもらいました。
私がそれに後から設定をつけていったようなかんじ。
対して『ワンダーランドでつかまえて』では、私が「UTAUにウェーブヘアの子っていないのかなぁ」という視点から(つまり完全に容姿から)ルナさんを選び、相手役には(ヘタレ役として)KAITOに似た声を持っていたルークさんをチョイスしたという、そんな経緯がありました。
『揺蘭歌』のメインボーカルであるはくぽ君は、動画巡りをしているときに素敵な声だなぁ、と思ったので、ぜひ彼に和風曲を歌ってもらいたいと思いました。
コーラスのマコさんは、和風曲=マコさんだろうという安直な考えがよぎっただけでした(笑)
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◆3
私自身が、歌詞よりもメロディを聴いてしまう性質なので、メロディを優先させるタイプです。
ABメロは歌詞が先行することも多いですが(『ワンダーランド〜』は特に歌詞優先でした)
サビの部分は、複雑さよりも覚えやすさを重視して、歌詞もあまりひねらないものを当てはめようとしています。
基本的に大衆受けしそうなド真ん中狙い。
だけど、サビの途中でいきなり転調したりとか、変拍子を取り入れたりとか、そういう変な部分は絶対に入れようと思っている人間です。
普通すぎるのはヒット曲で十分だと思うので、ちょっとは変わったことやらかさないと気が済まないのですよ……。
尊敬する人は久石譲(笑)
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◆4
汐日は歌詞をあまり気にしない人間なので、必然的に日ごろから歌詞というものに触れておりません。したがって歌詞を作る作業にも慣れておりません。
そこで、フリーサイズのメンバー白鴉さんの登場です。
彼女は某ゴシック歌手グループさんに詳しいので、いろんなごちゃごちゃした用語をいっぱい知ってらっしゃるのです。
私は比較的わかりやすい言葉にしようと噛み砕いてしまうので、そういうふやふやした言葉の中に、ぴしっと全体を締める単語が入ると良いですなー、という。
メロディに合った語感を重視しつつ、物語の筋を伝えなければならないけれど、でもあんまり率直に言葉を使うと歌の良さが崩れてしまうので、それも考慮しつつ……という点では、大変難しい作業だと思っています。
が、私はノリを重視する人間なので、歌詞の大枠は
1日で作ってしまうことが多いです(おい!Σ)
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◆5
一番大変なのはリズムの打ちこみです。
今回の『揺蘭歌』は和風曲だったので、民族調っぽいパーカッションのパターンをひとつ作り、その上から和太鼓とか小鼓の音などを重ねてパターンを作りました。
こういったパターンをシーケンスという形で組み、アカンパニメントという伴奏パターンもチョイスします(専門用語すいません)
それが終わったら、今度は伴奏になる音を組み合わせて作ります。
今回は和風曲だったので、箏とか尺八とかいう楽器をフル活用しました。
で、これらをリズムにあわせて演奏しながら、ぼんやりしていたメロディを、楽譜を書くことによってしっかりと固定します。
次いで、だいたいのハモりを楽譜に書きこみ、スキャンをしてとまとちゃんに送ります。
最近ではあまりに汐日の楽譜が汚いので、とまとちゃんに「読めません……!」と言われてしまうことが多いです(笑)
本当にご迷惑をおかけしてます(白目)
で、さっきのメロディ譜のウラに、今度は伴奏譜を作成します。
こちらは本当に雑です。
ぶっちゃけ演奏をしながら即興で作ってしまっているので、コードしか書いてないとかそういう状態です。
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◆6
伴奏を即興で作ってしまう関係上、時間がたつとコードの動きとかを忘れてしまいますから、作曲と伴奏は集中して
3日くらいで作ってしまうことが多いです(このときの汐日=鬼)
エレクトーン上でだいたいの録音が終わったら、今度はエレクトーンとパソコンをコードでつないで、ボイスレコーダーで再生したデータをレコードします。
どうしても上鍵盤の間違いが気になる個所がある、とかいう場合は、その部分だけ上鍵盤の音を消して、自分で弾きながらレコードしたりとか、いろいろやってます。
音割れがひどかったら、マイク感度などを調整してさらに再チャレンジ。
とにかく一気に終わらせてしまわないとノリ(=最大の原動力)が消滅してしまうので、こちとら必死です。
ものすごい剣幕で練習→録音してるので、この期間内は一日中エレクトーンにかじりついています。
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◆7
出来上がった伴奏の上に、音声合成ソフトで歌を乗せてもらいます。
ここで、フリーサイズのUTAU専門家・とまとちゃんの登場です。
アニメーションの制作過程でいえばアフレコ、つまり「登場人物に命がふきこまれる瞬間」ってやつだと思います。
この時間は本当に幸せです。とまとちゃんの神調声を聴いてパソコンの前でぎゃあぎゃあ悶えつつ、何度も何度もリピートしています。気持ち悪いったらありゃしないです(笑)
この、何度もリピートする作業の間に、音程ですとか音譜の長さ、あるいはエコーのかかり具合や音量バランスなどをチェックしています。
細かいことでもだいぶ違ってくるので、ちょっとでも違和感があったらきちんと伝えるようにしています。
結構、最初に聴いたときの印象を大切にしていることが多いです(何度も聴いていると耳が慣れてしまうので)
メールでの指示は毎回かなりの長文になってしまうので(前半称賛、後半指示)、とまとちゃんには非常にご迷惑をおかけしています……。
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◆8
ここで、同じイラスト描き仲間の白鴉たんに、衣装設定画を何枚か描いてもらいます。
彼女は私なんかよりもゲームとかアニメに詳しいので、そちらの経験から素敵な衣装を考え出してくれることが多いです!
彼女は、元のキャラクターさんの衣装を大切にして下さっている点も素敵だと思います。
私はもうむっちゃくちゃに改変してしまうことが多いからな……(主な犠牲者:カムパニルヤメンバーとルナとはくぽ)
私はそちらのイラストを見て、一人もえもえしながら(笑)袖の部分やら肩の部分などの素敵なパーツをいろいろ拝借させてもらいます。
こうしてCGソフトによる線画の作成が始まってゆくんだぜ……(白目)
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◆9
三つのソフトをいったりきたりしながら、CGイラストを何枚か作成&着色します。
キャンパスサイズは1280×960で描き始めました。
後から人物同士を組み合わせたり、拡大縮小したりする可能性を考えて、人物の背景を透明化したデータをとっておきます。
使用ソフトはSAI(線画の作成、メイン着色に使用)、openCanvas(ベース塗り、文字入れやキラキラ加工に使用)、PhotoShop(逆光効果やグロー効果に使用)の三種類です。
すべてをPhotoShop形式で保存して、互いに運用しています。
今回はだいたい一日で二枚程度の画像を仕上げたので、すべてのイラストが完成するまでに、
約3〜4日の時間かかりました。
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◆10
動画作成には、私はwindows live movie makerを使用しています。
理由は、画像を拡大してスライドさせたときの画質が、旧movie makerよりもキレイだからです。
だけど、画像レイヤーを二枚以上重ねられないとか、GIFアニメを直接放りこめないとか、文字アニメーションが少ないとかいう難点もあり。
動画の構成は、歌詞の内容と合わせて作ることが多いです。
今回は各人物の顔アップや足元アップなどを切り出して作っておき、それをどこに配置しようかなーという安直なところから作成を始めました。
で、後から二名以上の人物を重ねたイラストを作成して、空いたところに詰めていったというかんじ。
エフェクトは曲のタイミングにあわせて直感で選びます。
「ここはパーンと画面が開けてほしいなー」とか、「ここはじわじわ人物が入れ替わってほしいなー」とか、そんな具合。
まぁ、イラストとか曲の作成に比べたら、ここはあんまりつらくないです。むしろここまで来ると気が楽なので、るんさかるんさかしてます。
期間としては、休日をみっちり利用して
2日くらい。
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◆11
エンコードに関する知識は、動画をアップし始めてから学んだばかりなので、だいぶ乏しいです。
なんとか無料ソフトですべてを解決しようと、aviutlとBatchDOOをダウンロードしました。
なぜわざわざ最終的にFLV形式にするかというと、そちらの形式でアップするとニコニコ上で画質が落ちにくいからです。
WMV形式をAVI形式に変換するのも、ひとえにFLVに変換するため。
そして今回の動画ではじめて導入したニコエンコは、ムービーメイカーで作った動画が160MBくらいになってしまったために使用しました。
別に、もとの動画が100MB前後であったならば、わざわざこの動作を挟む必要はないのですよー。
どうやら100MB以上のムービーをaviutlに入れて変換すると、音がバリバリになってしまうようなのです。
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◆12
と、いう具合にして、無事に一本の動画が完成します。
制作期間としては、今までの経験上、
1か月前後で仕上がることが多いようです。
フリーサイズはみんな作業がめちゃくちゃ速いので、一度波にのってしまえば一気に作品が出来上がってしまうことが多いという。
こんなに素晴らしいメンバーたちに恵まれて、私は本当に幸せ者でございます。
確かに、今までずっとやってきた小説や詩を書く作業も、ペイントソフトで絵を描く作業も、エレクトーンで作曲をする作業も、みんな役には立っていますけれども……。
やっぱり、私一人ではこんなこと出来るはずがなかったわけです。
なので、この作業は本当に仲間ありきといいますか、お互いの持ち寄った資料を見て、お互いのモチベーションがぴょんと上がって、それが相乗効果を生んでいるんじゃないかなぁ、と私は思います。
長々とお付き合いいただきまして、本当にありがとうございました!!
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